スペイン風邪と狂騒の20年代

      スペイン風邪の流行  

第一次大戦が膠着状態に陥り、アメリカの参戦が決まったころ、スペイン風邪は、発生しました。当初はアメリカの基地で一兵士が発熱・せきなどの症状を訴えましたが、これが基地中に広がり、その後は、アメリカ軍のヨーロッパ戦線参加を機に、世界中に広まって行きました。

スペイン風邪は、ウイルスがもたらす疾患で、罹患者数と死亡者数により、世界史場稀に見る大規模なパンデミックとして把握されています。その詳細については、ジョン・バリー著の、グレート・インフルエンザに記述があり、ここでは詳細に立ち入って検討することは行いません。概略として、それが、第一次大戦を続行不可能にしたこと、大戦後も流行は止まらず、ウッドロー・ウィルソンが罹患したり、マックス・ウェーバーが罹患して死亡するなど、あまりにも有名な出来事で、国際赤十字や、さまざまな研究機関が、犠牲をかえりみず対処したにもかかわらず、収束の原因は未だに分かっていません。当時の世界人口 18 ~ 19 億のうち、1 億人を越える犠牲者を出したことから、14 世紀に大流行した黒死病と合わせて、歴史上の2大パンデミックと位置付けられています。

 第二次大戦後、ジェラルド・フォード大統領のもと、インフルエンザの合衆国国民ワクチン接種などが行なわれたことも知られています。

 インフルエンザの大流行は、昭和の時代、すなわち、その中でも、駄二次大戦後においても何度も起こっています。最近のコロナウイルスの流行の時もそうでしたが、1918 ~ 1920 年の大流行の際には、サイトカインストームによって多くの犠牲者が出ました。免疫系の反応による症状ですが、スペイン風邪の流行の際には、患者は時には吐血(あるいは体からの出血)なども伴ったようです…。

 スペイン風邪の終息については、いまだに解明されていません。自然免疫がついたというのは早急なようです…。インフルエンザの毒性が大幅に低下したとの理解がなされています…。

      インフルエンザ終息後の、アメリカ合衆国の

好景気

 アメリカ合衆国では、1920 年に不況が起こった後、徐々に産業基盤が成長し、4 ~5 年でそれはピークを迎え、好景気にわいた時代が到来しました。しかし、狂騒の20年代という言葉はひろくつかわれていますが、専門家の詳細な研究からは、この、ある意味株式市場を主体としたバブル型好景気が、あまり根拠のないものだという指摘が、なされてきました…。経済史学者侘美光彦氏は、大恐慌についての詳細な研究で広く知られていますが、侘美氏の研究からは、第一次大戦後の戦後処理にもがく欧州と、一国だけ好景気時期に入ったアメリカ合衆国との間のギャップが、おおきく浮き彫りにされています。また、侘美氏は、アメリカ産業の成長上昇は、1924 ~ 5 年までにピークを迎え、その後は、株式市場だけが独り歩きする、慢性的な産業不況に陥っていたと述べられています…。侘美氏の研究は十分に実証性があるものであり、狂騒の20年代という合衆国の一歴史的時期が、本来どのような世界状況の中で、さらにアメリカ産業社会のもとで進んだかについて、正確な背景を知り得るのに、事欠きません…。





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